極上お姫様生活【完】
「は…、」
びっくりしたぁ…。
先生の姿が見えなくなったのを確認して、弱々しく息を吐く。
キス、されるなんて思ってもいなかった…。翼ちゃんには何て言ったらいいんだろう。隠そうとしても無駄だろうし。
「お前、何してんだよ」
翼ちゃんにどう弁解しようか悩んでいると、頭上から怒ったような声がした。
「あ、っと…ありがとうございました」
助けてもらったのにお礼も言わないなんておかしいよね。八木原君が怒るのも当たり前…。
「ありがとうじゃねぇ!何してんだって聞いてんだ!!」
瞬間、八木原君は物凄い剣幕であたしを怒鳴りつける。
……え?
「何でこんな時間に一人で出歩いてんだ…」
はぁぁ、と重すぎるため息を吐き出してから、あたしを睨み付ける。
原因が分からないあたしは視線をさ迷わせ、ついには俯く事しか出来なかった。
どうして怒ってるの…?
「お前さ、あいつにあんな事されて嫌じゃないわけ?」
「っ、」