極上お姫様生活【完】
先生に触られるのは………怖かった。
どうしようもない恐怖感に襲われて、逃げたくても逃げられなくて…怖かった。
でもそれが、いきなりの事でびっくりしちゃっただけだったとしたら、嫌とは違う気がする。
「嫌…ではありません、でした」
―――でも、怖かったです。
そう付け足す前に、腕を思い切り引っ張られ、引き寄せられた。
「わ…っ」
「ふざけんなよ」
「え…?」
八木原君の声があまりにも弱々しく震えてたから、あたしは心配になって顔を上げる。
「あいつが…いいのかよ」
どういう意味…?あいつ、って先生の事?
「八木原君…あの、えと」
何て言ったらいいんだろ…。だって意味が分からない。
「蒼空は、あいつの事が好きなのか」
チクンと胸が痛んだ。…その原因は分からないけど。
「す、好きじゃありません!」
気が付いたら声を荒げていた。