極上お姫様生活【完】
何で、どうしてそうなるの。先生にキスされた事より、八木原君の今の言葉の方が…八木原君に嫌われる事の方が……怖い。
「絶対…っ好きじゃないです…!」
やめてよ。そんな風に思わないで。嫌いにならないで。
「…蒼空」
「勘違いしないで下さい…!あたしはただ……」
ただ、あの声の正体を知りたかっただけなのに。
ポロポロと涙が溢れては流れ落ちる。嗚咽も混じる。
「悪い、悪かったよ蒼空」
八木原君はあたしの背中を優しく擦りながら謝る。その声もどこか力がなくて、あたしのせいなんだと後悔する。
謝らせたいんじゃない。困らせたいんじゃないのに。
「…ごめんなさい……っ」
またあたしは繰り返すのかな。あの日と同じ事を。
「蒼空が謝る必要ねぇだろ」
「でもあたし、また傷付けちゃって…」
どうして学習しないんだろ。あの時あんなに後悔したはずなのに。