極上お姫様生活【完】


彼が本性を表し始めたのは、一ヶ月記念日を過ぎた頃。


‘なぁ、こっち来いよ’




「…彼はあたしの身体ばかり求めるようになりました。でも、あたし怖くて…拒み続けました」


「うん」




彼の態度は一変した。



‘言う事聞けよ’


暴力と、浮気。




「あたしと付き合う前から、彼には何人もの彼女さんがいたそうです。…みんな、身体だけの関係だったそうですが」




あたしもその一人になるはずだった。



でも、あたしは身体を開く事を許さなかった。だから、彼は暴力を振るうようになったんだ。




すぐに別れようとした。でも、彼は離れる事すら許してくれなくて。



‘逃げんなって、お前は俺の女だろ?’




「怖くて、苦しくて。…せめてもと思って、あたしは彼からのメールも電話も無視し続けました」


過去を思い出していくうちに、身体が震え出す。でも八木原君があたしの手を握ってくれるから大丈夫。全部話せる。



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