極上お姫様生活【完】
―――あぁ、やっぱり。
無意識に思った。何となく、あなたのような気がしてたから。
「……八木原君」
「介抱なんてもんじゃねぇよ。看護室に運んだだけだ」
ううん、違う。八木原君はあたしの手を握って、声を掛けてくれてた。
すごく、安心したもん。
「あの時の斎、すげぇ焦ってたよなー」
「当たり前だろ。つか、お前らだって人の事言えないんじゃねーの?」
八木原君が、声の正体。
「蒼空、どうした?ボーッとしてるけど」
「へ!?あ、いえ…大丈夫です」
「?…変な奴」
八木原君は呆れたように笑みを漏らす。つられてあたしも笑った。
聞いて良かった。知れて良かった。
あたしの胸の中にある温かい何かが、大きく膨らんだ気がした。