極上お姫様生活【完】
「そう、誰とどこに行っても構わない。ただし夕飯までに帰ってくる事」
おー楽しみだぁ。
「蒼空はどうせあの四人と行くんでしょ。もちろん私は朝陽と!」
翼は照れ笑いを浮かべながら私服に着替える。甘さ控えめなワンピースがよく似合っていた。
―――おはようございます。起きていますか?
扉の向こうから、松神先生の声がする。瞬間、翼が飛び上がった。
「おはよう朝陽!」
勢いよく扉を開き、その前に立っていた先生に抱き着く。それはもう物凄い力だったと思う。
「暑苦しいから離れろ!」
松神先生も必死で離れようとするけど、敵わないみたい。
「蒼空が着替えるから外出てましょ!」
「え、…ちょっ、押すなって!」
ニッコリ笑ってグイグイ先生の背中を押し、部屋を出ていく翼。
あたしを気遣ってくれたのか、自分の為なのか。多分両方やや後者。
そんな事を考えながら、一人になった部屋であたしはそそくさと着替えを始めた。