極上お姫様生活【完】
「こっち来な、やってあげる」
何を?…と思いつつ、あたしを睨む翼が怖いから大人しく差し出された椅子に座った。
「はい、目閉じてて」
「え、ちょっ…翼!?」
「暴れないでじっとしててよ、やりずらいじゃない」
どうやらあたしは化粧をされているらしい。目元や頬がむず痒く、もじもじと顔を動かしてしまう。
その度に翼に怒られるんだけど…。
「蒼空ぱっちり二重でいいわよね、垂れ目だし」
羨ましい~などと笑いながら、翼はあたしの顔に魔法を掛けていく。
化粧……興味がなかったわけじゃないけど、上手く出来なくて諦めていたものだった。
そういえば未來ちゃんはバッチリ化粧してたな…。
学園祭の事を頭に浮かべ、思い出に浸っていると翼があたしからすっと離れた。
「はい完成!うん、我ながら上出来、蒼空可愛いっ」