極上お姫様生活【完】
すっかり真っ暗になってしまって、探す事も困難になる。おまけに…。
―――ザァアアア…
容赦なく降り頻る雨。ほんとあり得ない…最悪。
「は…っ、…あの!」
ここが駄目だったらもう宛がない。諦めるしか―――。
「お嬢ちゃん、さっき携帯忘れてったろ」
「え…」
「はいよ。拾った時にあんたの後ろ姿が見えたんだけど、呼んでも気付かなくてな」
あった…!
「あ、ありがとうございます!」
手渡された携帯をぎゅっと握りしめ、深く頭を下げる。
「どういたしまして。もう落とさないようにな」
「はい…!」
優しい店員さんにもう一度頭を下げ、店を出る。
着信電話―――6件
着信メール―――11件
「………う、わ」
相手は、あの四人と翼。
心配掛けちゃった…とりあえず連絡しないと…!