極上お姫様生活【完】
ピーピー。
無惨に鳴り響く機械音。画面に表示される、充電してください。
「え、ちょ、」
放心してる間に微かなバイブレーションとともに真っ暗になる、雨に濡れた携帯。
もはやそれは、何の存在意義を持たないただの四角い物体。
「嘘でしょー!!?」
虚しく叫んでみても、地面を叩きつける水に掻き消されてしまう。
無力なあたしは、仕方なく走り出すしかない。
「絶対怒られるよ、これ」
そんな事よりみんなに心配を掛けている事に、激しく罪悪感を感じた。
とにかく早く帰ろう…。
しばらく走り続けていると―――。
「っ…は、」
何だろう…雨に打たれて身体は寒いのに、顔が熱くなってきた。
頭がクラクラと揺れて、足もフラフラ安定しない。
「…っ、……」
ふ、と視界が真っ暗になり、あたしはその場に倒れ込んでしまった。
なんか……目の前が―――。