極上お姫様生活【完】
「蒼空…っ、無事か!?」
部屋の布団に蒼空を寝かせていると、バタバタと遊哉たちが入ってきた。
「あぁ、眠ってるよ」
大丈夫だから音立てんな、蒼空が目覚ましちまうだろーが。
「蒼空……」
ポツリ呟いた遥登の声がやけにはっきり部屋に響く。振り返ると、今にも泣きそうな顔が目に入った。
らしくない。
「心配すんなって、」
「…ん」
遥登だけじゃない。この部屋にいる者全員が、ひどく悲しい顔をしている。
…俺も、そうなのか?
「結局蒼空は、何をしてたんだ?」
蒼空を若宮先生に任せ、自分たちの部屋に戻り状況を整理する。
「分かんねぇ、ただ…蒼空は携帯を握って離そうとしなかった」
充電はなかったけどな、と付け足す。
「そんなに携帯が大切なのか…?探しに行くのは明日でも良かったんじゃないのか!?」
苛立ったように湊が声を荒げる。