極上お姫様生活【完】
「お疲れのところ、申し訳ないです…」
「いや…、別に平気だ」
俺たちのすぐ傍で腰をおろしペコリと頭を下げる蒼空。
お前の顔を見たら、疲れなんてぶっ飛ぶ。
「お前こそ寝てなくて平気なのか?大分熱があったような気がすんだけど」
いや、実際あれは高熱だったはず。見れば、蒼空の顔はほんのり赤みを帯びて、瞳も虚ろ。
「無理しねぇで寝てろって。俺たちを気にする前に自分の心配をしろ」
優しく促しても、蒼空は石のようにそこから動かない。参ったな…。
「携帯……探してました」
ポツリと呟く蒼空。その手にはしっかりと携帯が握られている。
「うどん屋さんに忘れてきたと思ったので、一人で取りに行きました」
淡々と、でも申し訳なさそうに言葉を紡いでいく。
「でもそこになくて、思い当たる全ての場所を探しました。……それで、携帯は見つかったんですけど、あたし倒れちゃって……」
そこを俺に発見された、と。