極上お姫様生活【完】
「携帯なんて一日なくても支障ねぇだろ。わざわざ一人で行ったのも頂けないな」
ちょっときつい言い方だったか、蒼空の瞳にじんわり涙が浮かぶ。
「でもこれ…すごく大切なものだったので……」
あぁ、駄目だ。
「携帯がそんなに大切なのかよ!?俺たちがどれだけ心配したと思ってんだ!!」
ビクリと蒼空の肩が跳ねた。言い過ぎてるのは分かってる、でも止まらなかった。
俺たちがどれだけ蒼空を大切に想ってるか理解してほしかった。……携帯に嫉妬なんて、馬鹿な話だけど。
「浅村、本当に心配したんだぞ」
「そうだよ蒼空、不安でしょうがなかったんだから」
「……ごめんなさい…」
ポロポロと涙を流す蒼空を見て、少し……いやかなり後悔する。泣かせたいわけじゃなかった。
「…この携帯には、みなさんとの思い出が詰まっているので……絶対に、なくしたくなかったんです……っ」
蒼空は必死で言葉を繋げる。しゃくり上げながら、手では拭いきれないほどの涙を溢れさせながら。