極上お姫様生活【完】
精一杯の勇気
頭の上に重みを感じて、グラリ傾ける。
ポトリと何かが落ちる音が聞こえてゆっくり目を開けた。
「……ん、」
濡らされたタオルが目に入る。どうしてあたしの頭に乗ってたんだろ…。
まだぼんやりとしか機能しない頭で考える。昨日は確か、携帯を探しに行って、途中で倒れちゃって……。
それから―――。
「蒼空、目覚めたか?気分はどうだ?」
視界の端に八木原君が映って身体を起こす。
「やぎは……っ」
瞬間、頭の奥が殴られたような痛みを訴えて顔を歪める。
「無理しなくていいから。あんだけ熱出してりゃまだ辛いだろ」
「あたし……そんなに?」
「身体中震えてるし熱も高いし、途中で意識飛ばすし」
あれれ…全然覚えてないけど、迷惑掛けちゃったみたい。申し訳ないな……。
「ま、今はゆっくり休んでろ。荷物は若宮先生がやってくれてるみたいだし」