極上お姫様生活【完】
「決まってんだろ、お前がいるからだよ」
何の迷いもなく言ってのける八木原君。
「そんな…っ」
ずっと傍にいてくれたの?みんな帰ったのに、ただ一人でここに残ってくれたの…?
言い表せない感情がグルグルとあたしの気持ちをかき乱す。
「本当は遊哉たちも残るっつって聞かなかったんだけどな。…最終的に、松神先生が俺を選んだんだ」
「松神、先生が…?」
「お前になら任せられる…って、あいつ意外といい奴だよな」
―――じわり、胸が熱くなる。
「ありがとうございます…っ」
「気にすんなって。早く良くなって、一緒に帰ろう」
八木原君があたしの手を握ってくれる。あたしもゆっくり握り返した。
―――ガチャ。
「蒼空ー荷物持ってきたよ」
部屋に入り、よいしょ、とあたしの荷物を置く翼。全部まとめてくれたんだ…。