極上お姫様生活【完】
「翼…ありがとうございますっ、ご迷惑掛けてごめんなさい」
「理由は聞いたわ。今はゆっくり休みなさい。説教はまた今度ね」
翼はふふ、と笑って部屋を出ていった。
あう…。
「今度は翼に説教されちゃう…」
独り言のつもりだったけど、それは八木原君にしっかり届いていたみたいで。
「仕方ねぇな、俺も一緒に怒られてやろうか?」
楽しそうに笑いながらあたしの頭を撫でる。そんな顔されたら熱がぶり返してしまいそうだ。
それから暫くして、あたしの体調はすっかり回復した。
「行くぞ、忘れ物はないか?」
「はいっ、大丈夫です!」
元気よく返事をして、差し出された手をしっかり握る。
「あーあ、朝陽何してるかなー」
何気ない翼の独り言で思い出す。
「そういえば、昨夜は松神先生、どこにいたんですか?」