極上お姫様生活【完】
「ちょっ…」
「固い事言うなって。お前も飲めよ」
ん、と缶を目の前に差し出す八木原君。にっこり笑みを浮かべながら。
「いっ、いらないです…!」
ぶんぶん手を振っていらないと主張するけど、八木原君の表情は変わらない。……むしろ、飲めと笑顔で強制しているように見える。
「…~っ」
掴まれた手首が熱い。
「ん」
「……先生」
クルリ振り返って先生に助けを求める。
「…ふふっ」
笑ってる!あの教師笑ってるんですけど!!
楽しそうな笑みは、間違いなく―――飲んじまえよ。そう言っている。
どうやらあたしに勝ち目はないようで。
「ほら、グイッといけ」
少しだけなら……と渡された缶に口をつける。甘い果実の風味が口いっぱいに広がった。
「……」
何これ、美味しすぎる。
缶を持ち上げ、ゴクゴクと中身を飲み干していく。
美味しい。気分まで上がっていく。
「おい、蒼空ー…」
遠くで八木原君の声が聞こえた気がしたけど、今はそんなの関係ない。