極上お姫様生活【完】


………焦った。まじ、どうしようかこれ。



「っ…八木原、君」




息を上げて上目遣いで俺を見る蒼空。狭い空間に二人きり。……邪魔者は酔っ払って多分ここには来ない。


「…っ」




駄目だ、落ち着け俺。手出したらいろいろ終わりだろ。


「や…ぎ、原……くん」





あぁもうそんな声出して煽んなよ。俺がどんな気持ちか分かってんのか?



「とにかく、寝ろ」




「や、寝れないよう…」


ふるふる首を振って瞳を潤ませる。おい、バカやめろって。




「…そ、ら」







「八木原君、ぎゅってして」



あ、理性が。




「誘ったのはそっちだからな…」


刺激しないように優しく蒼空を包み込む。蒼空が嬉しそうに笑いながら、俺の背中に腕を回した。




トクン、重なる心臓の音。


うっわ、恋人みてぇ。つか俺…何でこんな緊張してんだ?




「…あったかい」



心地良さそうに俺の胸元に頬を擦り寄せる蒼空。……。






「蒼空、俺―――」

「好きです」







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