極上お姫様生活【完】
「……ん」
眩しい陽の光に目を覚ます。途端、激しい頭痛に襲われて頭を抱え込んだ。
「いった…」
昨日の事―――実は全部覚えてる。勢いに任せて告白してしまった事も、八木原君の気持ちも。
「両想いに…間違いないんだよね」
これであたしの記憶違いだったら顔から火が出るほど恥ずかしい。
ズキズキと痛むこめかみを指で押しながら、あたしは部屋を出る。
逢いたい。
逢ってもう一度、ちゃんと確かめたい。それから……付き合いたい。
「いつからあたし、こんなに欲張りになっちゃったんだろ…」
でも仕方ない。あたしは他の誰でもない、八木原君が好きなんだから。
優しいとこ、気遣いができるとこ、大人なとこ、八木原君の全部が大好き。
「八木原君……」
部屋にいるかな…。
「蒼空」
タイミング良く、部屋から八木原君が出てきた。やだ、超緊張する…!
「あ、…八木原君、おはようございます……えと、昨日はご迷惑、」
「昨日の事、覚えてるか?」
遮る形で八木原君が声を出す。……どうしてそんなに複雑な顔してるの?どうして笑ってくれないの?
「お、ぼえてます」
「うん、じゃあ…悪いけど。俺、蒼空とは付き合えない」