偽りの温もり

その日の夜。

「…え？」

帰りが残業で
遅くなった雅也が
ご飯を食べてる途中だった。

「仕事、
好きな事していいよ」

仕事のことを
相談したら
そんな答えが返ってきた。

私の中では
衛生士を続けなきゃ
いけないんだって
思っていた。

「今、やれることを
してみたら？
衛生士は子供が
大きくなってから
仕事する時で
いいんじゃないかな？」

本当はしたい職種
たくさんあった。

美容室のアシスタントとか
コールセンターとか
アパレルの仕事とか。

けど、それは
簡単なことじゃないって
思ってたから
衛生士でいっか、って
思っていた。

「俺はリオに
我慢させたくないし」

「雅也…ありがと」

「お礼言われるような事
俺、してる？ｗ」

たまに意地悪言うけど
大事なことは
ちゃんと言うし、
聞いてくれる。