偽りの温もり
家に着くと、
雅也の車がなかった。

きっと探しに行ったんだな、
って冷静に思った。

「鍵、ないし」

家に入ることもできず
家の前でずっと待っているのも
不審者と思われそうで
近くのコンビニに向かった。

雑誌を立ち読みしながら
外の様子をうかがっていた。

しばらくして、彼の車が
コンビニを通過していくのが
見えた。
その時、私は
とっさに雑誌で顔を隠し
バレないようにした。

‐さて、帰ろうか…‐

雅也は家に着いてるだろうし
早く家に入って落ち着きたい。
それが本音だった。

何もなかったかのように
「ただいま」って言えば
「おかえり」って
返してくれるかな?なんて
一人で考えながら
家に向かった。

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