偽りの温もり
「でも…俺っ…」

「分かってたよ。」

分かってた。
たくさんの
お揃いの食器。
色違いの枕。
色違いのバスローブ。
可愛い、ぬいぐるみ。

愛して、愛されて…
そんな関係。

分かってた。
だけど、
本当は空しかった。

「お願い…ヒデ…
今だけは
彼女にして…?」

私はただ、
愛されたかっただけ。

「それは…できない…」

今までの行いの
罰が当たったのかな。

必要な時だけ
利用して…
それは結局、
自分に返ってきた。

「お願いっ…
愛してるって
言ってよっ……っ…」

「…リオ…」

私はまた
ヒデに飛びついた。
背に手を回し
抱きしめた。

「いい加減にしろよっ」

私はヒデに怒鳴られた。

初めてだった。
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