偽りの温もり
「…え…?
好きって…嘘…」

リオは驚いていた。

「本当は密かに
惹かれてた。
入学したときから。
騙したことは
本当に悪いと思ってる。
けど、もう
自分の気持ちに
嘘はつきたくない」

騙したことを
許して欲しいとか
思ってない。

今の俺を
信じてほしいと
思った。

振り返った、
リオは
俺の胸に飛び込む。

目にいっぱいの
涙を溜めて。

「私だって…
あのときから
…ッ…
忘れてなかった…ッ…」

ずっと、
我慢してたんだ。
ずっと、
辛かったんだ。

俺の胸も
今は痛いよ。

「リオ。好きだ。
本当はずっと
会いたかった。」

俺たちは
ただ、ただ、
相手を想って
すれ違っていた。

というか、
交わってすら
いなかった。

本当はずっと
会いたくて
好きで好きで…

ただ、周りを気にして
素直になれなかった。
ただ、それだけ。

「リカのこと、
もういいや
ヒデとこうして
ちゃんと向き合えたから」

そう言う、リオは
俺が知ってる、
今までの笑顔よりも
もっと輝いていた。

‐ヒデside 終‐

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