偽りの温もり

私は走った。
どこに向かうのか
分からない。
ひたすら走った。

「…ハァッ……ハァッ…」

「ちょっと、待て！！」

私の腕を掴むのは
もちろん、ヒデ。

「何で逃げるんだよ」

「…彼女は！？
誤解されるじゃん！！」

お互いに息を整える。

「あとで説明しとく
今まで、なんで
連絡しなかったの？」

「早く卒業したいから
超勉強してたの。
バイトもして
お金溜めてたの…」

彼女のこと、
否定しなかった。

「てか…彼女、
出来たんだね」

多分、同じ高校。
仲良さそうに
腕なんか組んじゃって
僻むことしか
できなかった。

「俺…知らなくて」

「いいの。
あの時は
嬉しかったから
それだけで、いいの」

「…ごめん」

「ごめんてのは
私に失礼だよ
謝らないでよ」

泣きそうだった。
けど、我慢。
ここでお別れして
次に進むんだ。

「今まで、ありがとう。
私…」

「…セ、セフレ…」

ヒデがいきなり言う。

「俺、リオと
繋がっていたい。
彼女いるから
付き合うことは
出来ないけど…」

なんで？
私、セフレって…

けど、繋がっていたい、
そのヒデの気持ちは
正直、嬉しかった。

「…分かった。」

傷つくことになっても
ヒデのそばに
いたかった。

ホントに私は馬鹿だ