偽りの温もり
「リオ…」

ねぇ…
やっぱり
身体だけ?

そう思うと
涙が溜まってきた。

「…っ…
タカ…ちゃんっ…」

「タカシって
…呼んで…」

呼んだら
きっと
涙が溢れ出す。

「タカ…シ…」

私が呼ぶと
タカシは微笑んだ。

「リオ…愛してる」

お願い。
優しく言わないで。

お願い。
優しく抱かないで。

お願い。
愛してるなんて
言わないで。

「リオ…」

「…」

もう呼べなかった。
タカシって
呼ぶことが
怖かった。

タカシが
離れていきそうで
呼べなかった。
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