偽りの温もり
カーテンの隙間から
日差しが差し込む。

「…」

私はいつの間にか
寝てしまっていた。

腕枕、ずっと
してくれていたんだ。

「…んー…」

タカシが
起きそうになって
思わず寝たふりをした。

寝返りをうつ私を
後ろから、優しく
抱きしめるタカシ。

「リオ…?」

─寝たふり…寝たふり─

「…寝てんのか…
はぁ…
俺、何してんだろ」

独り言が大きすぎる。

「…俺、リオが好きだ
……って素直に
言えたらなぁ…」

それで十分だった。

「リオ……ごめんな…」

タカシは
そのまま寝てしまった。

私はタカシを
起こさないように
ベッドが出た。

「…リオ…」

ふと呼ばれた。
けど、寝言だった。

だからこそ
嬉しかった。

私は置き手紙を残し
制服を着て
タカシの家を出た。
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