偽りの温もり
「ヒデ、送ってきた。」

「…そう…ッ…」

今にも泣きそう。
必死に涙を止めてるけど
いつ流れても
おかしくない状態だ。

「正直に言ってね?
今日の話聞いて
雅也はどう思った?」

私はうつむいた。
雅也の顔なんて
見れるはずがない。

「正直、
ガッカリした」

「…だよ……ね」

-ポタッ…-

頬に涙が伝った。
もう終わりだ。

そう、私は思った。

「なんで、
何でもないとか
意地張ったの?」

は?…そこ?

「聞いた時に
正直に
言ってくれたほうが
俺は嬉しかったかも」

「え……
私のした事は?」

「たしかに、
周りから見たら
偏見を持たれると思う。
だからって、
俺は嫌わないよ」

予想外の答えだった。

「こんな私でも
いいの…?」

「んー…じゃぁさ…」

初めて会って
二人で飲んだときと
同じシチュエーションで
耳元でこう言った。

-俺のこと
どう思ってる?-

って。
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