楽園はどこに?【BL・GL・NL】
「あ、誰か寝てる」
突然、彼が言った。
視線の先を追うと、
壊れたテーブルに囲まれるように、
小さな人影が横たわっているのが見えた。
「すみません、
気にしないでください!」
キッチンから、少年が叫んだ。
「ゾンビだね。彼も、あっちも」
「そうなのか」
俺にはやっぱり、
見た目だけじゃ違いが判らない。
常に彼と一緒だから、別に構わないけど。
「そうなんですよー」
変化すると、視力だけでなく、
聴力も上がる。少年にも、
こっちのやりとりが聞こえたようだ。
「お待たせしました!」
少し待つと、キチンとした、
この店の状態には不似合いな
美味しそうな匂いの漂う商品が出てきた。
「……普通に美味いな」
「ありがとうございます!」