千変万化の剣
「次はスープにしますね。」


「おんなじスプーンを使って、俺はいったい何回間接キスをすりゃ良いんだ?」


「男の子が細かいことを気にしないでください。


ふーっ、ふーっ


はい、あーん。」


「あーん。」


「おいしいですか?」

「人参は嫌いだ。」

「好き嫌い言わないでください。」


「そもそも人参は甘い!

野菜が甘いなんて気持ち悪いだろ。


ピーマンみたいに苦い方が野菜って感じだ。」



「幸大さん、あーん。」


「人参は嫌いだ。」


「あーん。」

「人参、嫌い。」


「仕方ないので私が。」


イヨが人参の入ったスープを口に入れ、


次の瞬間


「んっ!」


口移しで飲ませた。


「ぷはぁ!

イヨ、いきなり何を!?」



「好き嫌いするからです。


…それにしても何か病み付きになりそうです。」


「止めろ。


それを続けるといつか咀嚼プレイに…」

「じゃあ好き嫌いしないでください。」


「…はい。」







「俺のベッドで何を?」


「昔話か子守唄を。」



「…イヨ、俺はガキじゃねぇ。」

「…でも、幸大さんが何をしてほしいかわからないので私なりに考えて…


んっ!

ん〜!」

幸大がイヨにキスをした。


「何かしてくれるんならさ、一緒に寝て、俺を抱き締めててくんない?」


「はい。」


イヨは幸大の頭を抱き抱える。


「幸大さんって子供みたいです。」


「男は皆、ガキのままなんだよ。

そのくせ、好きな奴の前ではカッコつけて。


だから、イヨみたいに甘えさせてくれる人がいてくれて、嬉しい。」

「私も、力になれて嬉しいです。」


二人は布団の中でキスをした。
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