我が家の甘々執事サマ☆
「うちでは、そんなの聞いてないです」
「まだ、父親同士で候補として出ているだけですよ」
心配しないで、とハルトは笑う。そしてさらに続ける。
「しかし私は、結愛さまのことを全く知らない」
「そこでbutlerに話がいった。そもそも相田グループのもんだからな」
秀に話がバトンタッチされる。
「執事のふりをして『本来の姿』の結愛サマと関わりたいとお思いになったんだよ。
ハルト――いや、相田さまは」
わたしの、本来の姿?
「どうして、だましてまで」
「私の家には、不躾ながら『表裏のあるご令嬢』との縁談が多かったりする」
この世界では、育ちの良い人ばかりだと思われているが、そういうわけでもない。
結婚してからでなければわからないこともたくさんあるのだ。