我が家の甘々執事サマ☆
程なくして、母は相田家からいなくなった。


その後は父と使用人の中で育った。それから後五年後、私に縁談の話が来ていると聞いたのは、中学校を卒業したくらいだった。


「百瀬……様ですか?」

「あぁ。百瀬結愛ちゃんという女の子だ」


渡された写真に写っていたのは同年代くらいの女の子だった。シフォンのワンピースに身を包み、カメラに向けて微笑んでいる。

──か、かわいい


ぼうっと写真を眺めていたら「気に入ったか?」と声を掛けられてはっとする。

そういえば、女の子に対してかわいいと思ったのは初めてだ……


「百瀬さん…結愛ちゃんのお父さんだね、とは長い付き合いでね。よかったらという話が出ているんだ」

「そうなんですか」


正直、結婚はしないつもりだった。




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