一人よがりのロミオとジュリエット

一目惚れの先に

最愛の相手である人間が、憎しみ、争わないといけない存在であることをきいちは心から悲しんだ。

きいち『ライバル社じゃなくてもいいだろう』

その頃から彼の仕事に対する意欲は失われ、社内での評判も右肩下がりとなった。
きいち「私は何を目指していたのか?」

それから一月経った頃、彼は紛れもない窓際社員に成り下がっていた。年下にはアゴで使われ、上司にはストレスのハケ口にされ、同僚から蔑んだ視線を受ける。気付けば彼専用のデスクもなかった。彼は腐らずに頑張るのか?それとも負け犬になるのか?
ただ、私が当時を思い出した時、彼の左目蓋は間違いなく半分閉じていた…。彼はストレスを感じると目が開かなくなるらしいが、すごく分かりやすい感じ方だ。恋というものが、人生のウエイトのどれくらい比重を置いているのか?
きいちはまず恋愛ありきとの考えだったのが、初めて会った時からわかったものだ。
きいちが窓際社員になった頃、仕事上の付き合いでライバル社と対談する機会があった。その席にはきいちはもちろん、意中の相手である彼女もいた。
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