ほととぎす
誕生
空に浮かぶ雲のような、白いもやの中から人の話し声が聞こえてきた
それは性別の判らない仙人のような恰好で大柄の体格で、いかにも自信家のような
話し振りです。
「今度は上手くやれよ!」
「いつも弱気だからな、君は何度やっても同じかな。」
「そんな事は無いと思うけど、今度は交替しようか!」

「よし、今度は我輩が君の持ち場をやろう。」
「そうしよう、今度はどこに下りようか?」

二人の会話は、何の事やら意味がわからない、二人はもやの間から下を見ると
そこには下界の様子を手に取るように見えています。
まるで、人工衛星から地球を高精度の望遠鏡を覗いているような景色です
見る見るうちにズ-ムアップする画面は、コンピュ-ターグラフィックのようにズームアップした
「あれを目標に行こう、あの小さな島々のどこに下りようか。」
「決まった、一番端の島に降りるぞ!」
「ではお先に」
「オイ我輩をおいていくな。」
『今度は持ち場が逆だから、コッチが先だ!」

二人は地上を見下ろして、小さな島の集まりを目標に下りる事になった、
先に飛び出した者は、見る見るうちに見えなくなってしまった
あとから、残りの者も飛び出して、目標の島に目掛けて下っていく、まるでス-パーマンの
ように頭から突っ込んでいく。
ひゅ-ひゅ-
突然突風が吹き乱れ、思うように下りていけない。
「なんだこの風は、つむじ風にまきこまれたか」
「ワー、目標から離れてしまった。」
「なんだか判らないが、あの家に下りてみよう」
突風に流されてコースを少しずれてしまって、目に留った極ありふれた家に下りていく。
かすみのように屋根を突き抜けると、そこにはお腹の大きな妊婦が蒲団に横たわっていて
「うーん、う-ん」
どうも臨月のような様子。
「判った、この妊婦の腹にいる、胎児に入るのだな」『それ行くぞ」
そのまま、妊婦の大きく膨らんだお腹に、吸い込まれるように入ってしまった

「うーん、う-ん」
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