ほととぎす

二人は威勢のいい奇声を発するが、アオダイショウとの間合いは縮まろうとはしない。
アオダイショウは慌てて一度二度、身体を揺すって上がろうとしたが、バランスを崩した
「ドッサッ、」と重く低い音を立ててアオダイショウが畳の上に落ちてきた。
アオダイショウが体制を立て直す前に、リョウが一太刀入れた。
「トッ―エ-イ、ヤ-ッ　」
劣勢に立たされたアオダイショウは、後ろを振り向く間も無く土間に、雪崩れのように逃げて行く、それを多摩緒は見逃さなかった。
ハタキの柄を畳に何度も打ち付けて、大きな音を出して追い払い出した。
多摩緒は、ハタキをホウキに持ち替えて、土間に降りてアオダイショウを屋敷の外に追い
払った。
もうあのような大きなアオダイショウのヌシは現われなかったが、その子分格の動物達は
時々姿を見せていた。

「もう、嬰児籠から出してやらんと、イカンのじゃなかとね？」
「もう満１歳になるけん、歩けんごとなったらイカンけん、早よう出しちゃろう」
リュウと多摩緒が、朝のかたづけをして掃除をしている時に、嬰児籠の縁につかまって立ち上がったゆう太を身ながら、二人で話をしていた。その頃ゆう太は、猫のミケと嬰児籠の中で遊んでいたが、ゆう太の身体が猫のミケより大きくなっていた。ゆう太がミケのシッポを掴んだので、ミケは突然に怒り出した。
ミヤ-（ホーラ、ほうら）
ミケは後ろ足で立って、前足をゆう太の右肩にのせて、右側から抑えて来たので、ゆう太は左手に嬰児籠の縁を握って必死にこらえているが、ミケが全体重を前足に掛けてきているので、ゆう太はこらえ切れず膝を曲げてしゃがみ込むが、必死に左手は嬰児籠を握っている。
「うｰお-お-・・・うう-」（重タ―イ！ナーン？）