★ミクロ卿の小説制作記★
ケイラの話
ペンキを塗りたくったような白い空間だった。
そこにあるのは一つのテーブルらしき机。
座っているのは二人だ。
一人は、青く澄んだ瞳の小さな少年。
もう一人は、よく分からない。
太り気味で、ダンディーなタキシードを身にまとい、「ひょっとこ」のお面を被っている。
テーブルに置かれた皿の上の、焼きイカを取っては口に運ぶ。
「で、どうよ【トリップ】完結の感想は。ケイラ君?」
「どうもこうもあるか。いわばあれだ。失業も同然じゃねぇかよ」
「夢の無い事を言うね。いいんだって、物語は終わっても人生は終わらん」
「つうかお前誰だよ」
「姿のまんまさ」
ケイラは、ジッとその奇怪な姿を見つめた。
「ただの太ったひょっとこ紳士」
「うるせー」