★ミクロ卿の小説制作記★
紳士はグビグビをワイングラス一杯に注いだトマトジュースを飲み干す。
しかし、顔は見えない。
「下品な飲み方するなぁ、お前」
「それはフランスの上品な食事の食べ方ってやつかい?悪いが、ここは王様の国じゃなくて侍の天下なんだよ」
「過去形だろうが、侍は」
「それじゃあ、陰陽師」
「それ、もっと昔だろうが。何で江戸時代からさらに平安時代にさかのぼってんだ」
「バカヤロウ、陰陽師って実際は明治時代まで存在してたんだぞ。陰陽師なめんなよ、このピーマ・・・」
「それ言ったらナイフで心臓えぐるぞ」
何たる暴言の吐き合い。
ケイラの青く澄んだ瞳孔が、紳士を捉えた。
「まぁまぁ、飲みたまえ」
なだめるように紳士は言った。
ワイングラスにたっぷりと注がれた、美しいほど純白でクリーミーな液体。
『小さなお子様のグングン育つ!カルシウムたっぷりの牧場ミルク☆』
「お前さ、なめてんの?」
ケイラが激昂にも似た声で言った。