空音
 お化け屋敷を出てから、妃奈はさっきのキスには全く触れることなく遊園地を楽しんでいた。
「たのしいね!次はあれに乗りたい!」
お~。。。もう何を見ても驚くことはない。
当然な事に妃奈が乗りたいというものは
「またジェットコースター?!」
僕は思わず声をあげ、間違いである事を祈りつつ妃奈に確認をしてみた。
「そうだよ!だって絶叫系に乗らないと遊園地に来た意味がないじゃん!!」
妃奈の言葉に妙に納得しながら本日何回目なのかもわからないジェットコースターに乗ることを決心していた。


今日一日でジェットコースターを十分に満喫した(?)僕は上と下がさかさまになるくらいに頭がシャッフルされていてこれ以上の絶叫系は無理だと思っていた。
そして妃奈がそれを察知したのかしていないのか
「次はあれに乗りたい!!今日の最後にあれに乗ろう!」
といった。
僕が目を向けた先には
「観覧車??」
「うん!!観覧車に乗りたい!!だって男の人と二人だけの観覧車って女の子なら誰でもあこがれるんだから!」
妃奈のいたずらっぽく笑う笑顔には魔法のような力があり、僕は妃奈には頭が上がらない。
「いいぜ!じゃあ最後に二人で観覧車だ!」
妃奈がうれしいって顔をしてくれた。
でも妃奈??本当は俺のほうが何百倍もうれしく思ってんだよ?
笑顔を隠すのが大変なんだから。妃奈の魔法にはかなわないよ。

観覧車に乗るっていうことで僕はあることを思い出した。
てか狭い室内に二人きり?!
当然そうだ。ていうか逆に知らんおっさんでもいて三人のほうが非常識だ。
僕は何を話そうか。さっきまでは気にすることなく喋っていた僕だか密室となるとやはり緊張はしてしまう。

案の定観覧車の中では沈黙が。。。。
何を話そう。
てか何か話さなくては。
緊張感な押し殺され僕は妃奈に言葉をかけた。
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