空音
 「おい淳二。お前俺がなやんでる水谷淳二をみて何も気付かないと思っているんか?何年お前の不細工な顔見てると思ってんねん!お前の考えてる事ぐらいわかるわい!!」
俺はたけしの言葉がうれしくて何も話を続けることが出来なくなった。
だって言葉を出そうとしたら涙があふれそうになるからだ。

そんな俺をみてたけしは何も言わずにまっていてくれた。
俺が話を始めるまでずっと。
何分起ったかわからないがある時俺はたけしに話しを始めた。

「実は妃奈はガンなんだよ。治るっていう事はないらしい。これ意味分かるよな?」
俺は今にも泣きそうな声でたけしにこのことを打ち明けた。今までずっと一人で背負っていた事を打ち明けた事でなんだか少し楽になったような気がした。
たけしは俺が泣くのを精一杯我慢している事を察してくれたのか、ソファーに横になりながらこういってくれた。
「自分ひとりで溜め込むなよ。仲間だろ?話ぐらいは聞いてやるよ。このたけし様が。」
たけしなりの優しさだろう。俺は友達という存在に大きく感謝した。
そしてたけしは最後にこういった。
「泣いてもいいぜ。たまには涙の子守唄ってのも新鮮味があって熟睡できるかもしれないし。」
ありがとうたけし。お前の優しさに本当に助けられたよ。
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