空音
「ねえ、淳二ちょっと公園とかでいいから二人で話すことは無理?今日あんまりしゃべれてないから。」

だめなわけがない。
俺も許されるならずっと妃奈と一緒にいたいのだから。

「そんなの全然いいに決まってんじゃん!!じゃあなんかコーヒーでも買ってくるね!」

そんなことを話しながら二人で公園のベンチに腰かけて、たくさんたくさん話をした。

今日の試合のこと。
たけしや入来のこと。
妃奈がみんなに言ってくれたことが本当にうれしかったということ。

二人でいるときは何も考えることができない。
いや、妃奈のことだけで頭がいっぱいになり時間がどれくらい過ぎたのかすら考えられなくなってしまう。

その時

「ねえ淳二。もしもの話だよ?」

妃奈がいきなり真面目な顔をしながら俺に話を始めた。

「あのね、私の病気は治らないって自分でわかるんだ。少しずつだけど息がしにくくなってきてるし、ご飯も食べれない日とかもあるの。多分、、、こんなに外出できることはなくなると思うし、そのうちベットからも降りることも、淳二に笑顔で笑いかけることもできなくな、、、」

「ちょっとまって!!」

俺はいきなりの妃奈の話が怖くなり話の途中で声をあげてしまった。

「妃奈!!!そんなに弱気になっちゃダメだって!大丈夫!!必ず治るから!!」

俺が大きな声を上げた時、妃奈は冷静に、少し微笑みを浮かべながら話を続けた。

「淳二。お願いだからちゃんと聞いてほしいの。私といても淳二には何もいいことがないと思うの。いつか私はいなくなるし。」

「そんなことないよ!!何ひとりで勝手に話を進めて、、、」

俺は言葉が詰まり、一つの不安が頭をよぎった。
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