空音
妃奈が元気な時は俺もとても気分がいい。
そんな時は二人で散歩をすることに決めている。
どこにも行けない二人だが唯一行っても構わないといわれている場所があり、そこはお決まりのデートスポットになっている。

「ねぇ!!屋上に行こう!!」

妃奈に言われエレベーターですぐ着くデートの開始。
屋上にいるときの二人は何もすることなくただ空を眺めている。
多分知らない人が見れば二人でおかしなシチュエーションだろう(笑)

「今日も空きれいだね!!」

「いや!!妃奈の方が100倍きれいだ!!」

「何いってんの!?淳二いまから外来に行く??(笑)」

妃奈が元気に笑ってくれていると俺も元気になる。

「ば~か!!冗談ですよ(笑)」

妃奈は無邪気に笑いながら俺のほっぺたをつねった。

「淳二の誕生日ってもうすぐだね!!淳二は何がほしい?!」

そうか、もう俺の誕生日が来てしまうのか!?
また年をとってしまう。。。

「ほしいものなんかないよ(笑)祝うほどのものじゃないから」

「じゃああげない!!」

妃奈は少し怒ったように言った。

「ぎゃ~ごめん!ん~そうだな~。。じゃあ俺にラブレター書いてよ?」

「ラブレター??」

「うん!妃奈から手紙なんてもらったことないから!!一生の宝物にするし!!」

妃奈は恥ずかしそうな顔をしながらうなずいた。

誕生日が一気に楽しみになった。
でもこれが妃奈からもらう最後のプレゼントになるなんて。
僕の誕生日より早く、妃奈がいなくなるなんて。

このときは思ってなかったよ。
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