空音
それから何日か妃奈に会いに来ているが、実際に会えたことはない。
胸が裂けそうになる。
頭がおかしくなりそうになる。

そんな思いを心にしまい、俺は今日も、そしてこれからもずっと妃奈の回復を祈るだろう。

今日のクラブが朝からあるためにグランドに出る。
変わったことと言えば窓から妃奈がサッカーを見てくれなくなったことだ。

それがどうゆうことなのかは入来もたけしも理解してるようで俺にその話はしてこない。

逆に俺が練習に打ち込めるように真面目に、時に明るく接してくれている。



今日も練習が一通り終わり、妃奈の病院に行こうと着替えていると俺の携帯が鳴った。

「はい。」

「淳君?妃奈のね、意識がなくなったの。淳君今すぐ病院これる。」

お母さんの声はとても冷静で、俺は妃奈がいなくなってしまうと怖くなった。
電話を切ったあと、俺は全力で走り、急いで病室に向かった。

俺が妃奈のいる病室の扉を開けると、そこにはベッドのうえでたくさんの管につながれた妃奈とその横で泣きながら医者と話をし、顔を手で覆っている妃奈のお母さんがいた。


俺はすこしの間妃奈の顔を見つめ、あることを悟った

妃奈はとてもがんばって今まで生きてきたんだ。あんなにきれいだった妃奈の髪も手も、生きるために犠牲にしたんだね。僕がわがままばっかり言うからがんばって生きてくれたんだね。今もとてもしんどいんだろ?もう妃奈はこれ以上頑張らせることはできないよ。


そう思っていた時、お母さんから俺に話があった。

「もう妃奈を楽にしてあげたいの。」
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