空音
君心
 彼女と別れてから三ヶ月が過ぎた。
あれから彼女ができた事はないし出来そうな予感すら微塵もない。
強いて言うならボールが彼女か。
今日もグランドでサッカーに打ち込む。一番幸せな時間だ。
「淳二!!お前今日の練習きついとか思わんの?!」
たけしが耳打ちするように俺に言ってくる。
たけしは走ることが大嫌いな為か暇さえあればしんどそうにしている。
「走る事はサッカーの基本やからな!てかボールは裏切らん。」
こんなことをいう俺に入来はこう言う。
「淳ちゃん。サッカーとは結婚できひんで。」
入来はあの合コンで知り合った子とは今でも会っているらしい。。。
「付き合ってないから!」
と入来はいうがみんなは誰も信じていない。
まあ俺は今こうしてサッカーができれば問題はない。そのときはそう思っていた。
君に出会うまでは。

「淳二!あの子可愛くない??」
たけしが俺に言い出した。
しかし俺はたけしがどこから女の気配を感じていっているのかが全くわからない。
「てかあんな可愛い子見たことないから!」
たけしはどんどんテンションがあがっていく。
訳がわからないままなのは気持ちが悪いのでとりあえず聞いてみた。
「てかどこに女おんねん?」
するとたけしは、グランドの横に立っているマンションなのかなんなのかわからないビルを指差した。
「あの2階にいる子!ほら、窓から顔出してる子!」
たけしが指差す方向に目を向け目をこらしてみる。。。。
。。。ほんとだ。かわいい。何というか白い。目も同じ人間なのかというくらいに大きく髪はロングのストレート。
さらに黒髪。
やばい。言う事ないくらいにドストライクだ。。。
「淳二、合コン誘うって約束覚えているよな?」
たけしの一言で見とれたまま動けなくなっていた自分が現実の世界に引き戻される。




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