恋の法則
藤沢は真面目に考えてくれたのか、


(あ、もしかして失礼?)


それまで読んでいた本を机に置いた。

ポリポリと頬をかいて


「難しいな」



って呟いた。



「へぇ?藤沢にも難しいって思うことあるんだぁ?」



ブって、私は吹き出す。


藤沢が顔をしかめた。



「ふ~ん?それが人に物を聞く態度か?」



私はごめん、ごめんって言って

「どうぞ」のポーズをした。


「で、アンタの意見は?」


「人それぞれだろ」


「それだけ?」




今度は私が顔をしかめる番。

藤沢はため息をついた。



面倒くさい女、とか思ってんのか?




「天宮の彼氏がどう思ってそんなこと言ったか知らねぇけど、
それは天宮自身がよく分かってることじゃねぇの?」



黒のフレーム眼鏡が、
藤沢の瞳を隠す。






「…分かんないから聞いてんじゃん…」





腕に顔を埋めて、私は小さな声で言った。





私はアンタと違ってバカなのよ。




担任の先生が進級出来るか、心配するほどバカなんだから。





そんな私に分かるわけないでしょ。
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