恋の法則
「お前は『別れたい』のか、
それとも『別れたくない』かってことだろ?」



藤沢の淡々とした口調に、目を上げる。




藤沢は何だか困ったように、

微かに笑っていた。






笑い慣れてないんだろうな…。





ふと、そんなことを思う。






「それを伝えりゃ良いじゃないか」




私は公太郎と


『別れたい』

か、


『別れたくない』

か。


そんなの決まってる。





「別れたくないよ…」




私が泣きそうだったのが

分かったのか。




藤沢は側に来て、

黙って、私の頭にポンッて手を乗せた。





藤沢の手は意外と大きくて、


公太郎が、いっつもあの優しい手で私の頭を撫でてくる手に、





少し似ていた。






何だかそれだけで、




私の胸は苦しくなったんだ。





余計涙が出そうだよ。
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