恋の法則
………え……?
あれ………。
ちょっと待って……。
私…今なんて……。
可愛いやつって……思ったの……?
…………は?
「う嘘嘘嘘!!!!」
立ち上がり様、座っていた椅子が勢いよく後ろで倒れる。
藤沢がビックリした顔して私を振り返る。
「…どうした…?」
近づいて来る藤沢に
(わぁー!!!近づくなーー!!!)
私は首を左右に振って
「何でもない」
を連呼した。
藤沢は、(呆れたんだろう)またもため息をついた。
「ばーか」
私の額を小突き、倒れた椅子を立て直す。
「ご、ごめん…」
謝ると、藤沢はふと目を細めた。
いつもはしかめ面だけど、藤沢は笑うと眉が下がって優しい顔になる。
「変なやつ」
視線をそらして、くくっと笑いをこらえてる仕草に、私の心臓はわけもなく早鐘を打つ。
「…うるさい…」
真っ赤っかになったであろう顔を伏せて、席に着く。
藤沢はまだ笑いを含んだ声で
「頑張れ」
私の後ろ頭を軽く叩いた。
熱があるみたいに触れられた所が熱くなった。