恋の法則
「…なつみっ」


背中を押され、途端に我に返った。


ハッとして前を向き勢いよく立ち上がる。



「くぉらっ天宮なつみっ!!!」



「はいぃ!!デミグラソースはやめます!!!」


両手を高らかに上げ、
先生とクラスの皆に選手宣誓。



って…何を…!?


正常な意識に戻るまで0.01秒。

時、既に遅し。

一人が吹き出し、また一人が吹き出し…

全員が感染する。


…あぁ…またやったわ私…。


口の端が引きつる。
先生も同様に。


「天宮、188ページの問題」


先生はクイクイッて黒板の方に手招く。


端から端までびっしり書かれたちんぷんかんぷんな問題。


あはは~。分かんなぁい。


「ほれ、やれ」


と先生にチョークを押し付けられ、青くなる。


私以外にも居眠りをこくやつが餌食にされる。


渋々黒板とにらめっこするけど、

ククッて笑う藤沢が視界に入ってしまう。



…あ。起きたんだ。


意識はそっちにずれちゃう。


藤沢は少し首を傾げ

「カンバレ」

って口を動かした。


やっぱり、心臓はカタンッて揺れた。




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