恋の法則
そうだ。アイスでも奢ってあげよ!
「智美ちゃ~ん」
私の変な語尾に若干顔をしかめられる。
鞄を軽々持ち上げて帰宅準備完了の様子。
智美の机の中には置きっぱなしの教科書が
きゅうぎゅうに詰められていた。
どう見ても、家で勉強してます☆
とか言えない机の中身だ。
良くあんな綺麗なノート作れたもんだ…。
「何よ?」
「アイス食べてこ~よ。今日のお礼に奢るよ♪」
智美はキョトンとして
「お礼?」
って首を傾げる。
しばらくして「あぁっ」って手を打つ。
「いいよ。お礼なんか」
「えー?あれのおかげですごい助かったんだよ?」
智美が遠慮するなんて珍しい…。
きっといつもなら、目を輝かせて
「よし!奢りきた!」
とか言って、ガッツポーズでもするはずなのに。
なのに今日の智美は
「私はいいからさ」
なんて、遠慮しちゃってる。
そして、視線をキョロって動かした。