恋の法則

励ましてくれた人



私、いつまでそうしてたんだろう…。

朦朧とした意識のまま、
冷たいコンクリートの上に座り込んでいて


気付いたら目の前に智美の顔があって――。


「ちょっとなつみ?大丈夫?」



「とも…み」



私は乾いた声を出す。


智美は「何してんのよ」と腕を引いてくれた。


智美の手を借りなきゃ立ち上がれないなんて…


私、どうしちゃったんだろう…。



「何でなつみが一人でこんなとこ座ってるのよ?

藤沢君は?」


私は顔を伏せた。

そうだ…藤沢が


藤沢が行っちゃった…。



すごく寂しそうな顔してた。




「どう…しよ…私…」


「ちょっと…落ち着きなよ」


智美に覗き込まれて、私は小さく頷いた。



でも、心の中はグルグル渦巻いていた。


もしかしたら、藤沢と明日から言葉を交すことさえないかもしれないって。


もう、目を合わしてくれないかもしれないって。


もう、あたしを「天宮」って呼んでくれないかもしれない。



あの不器用な笑顔を、見せてくれないかもしれない――。


< 47 / 74 >

この作品をシェア

pagetop