恋の法則
学校を出ようとした時


「一人じゃほっとけないわよ」


って言って、智美は家までついて来てくれた。


いつもは

「早く」

って急かすのに、私の歩調にまで合わせてくれた。



「ごめんね」って謝ったら

智美はニヤって笑った。



「ありがとう、でしょ」


って肘を小突いてきた。



勢い余って私は横へ飛ばされる。


うん。ありがとう。


家まで後数分の場所の十字路で私は方向転換した。



「もう大丈夫。
智美、ありがとね」


精一杯笑って、手を振る。



「そう?気をつけて帰んなよ」


ちょっと心配そうに眉を潜めてるけど、
私の言葉通り元来た道の方に体を向ける。



「また明日」


振り返って手を振る智美に



「あ、智美っ」


私は思い出して呼びとめた。



鞄をごそごそして、一冊のノートを取り出す。


昼休みに智美から借りた、ありがたいノート。



「ごめ~ん!返すの忘れてた」



差し出してるのに、一向に受け取ろうとしない智美。


私は首を傾げ、


「どうしたの?」って聞いた。



何か考えてるように、そのノートを見つめてた。

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