恋の法則
【恋の法則4】

ノート

私は智美と別れた後、何をするでもなく部屋の机に突っ伏していた。



視界の中に映るのはあのノート。



さっきまで一緒にいた智美の声が時々頭をかすめる。




「…藤沢…」




私は自分の腕に頭を埋めて、その名前を呟いた。




『それね、藤沢君が貸してくれたノートなの』



さっきからその場面の声だけが、鮮明に甦る。


ハッキリと焼き付いていて離れないんだ。


私はそれを聞いて、智美を問い詰めた。


しばらく言葉を持て余していた智美。



『…あたしのノートってことにして、アンタに…なつみに貸してやって欲しいって藤沢君に頼まれたの』



藤沢…何でそんなことしてくれたの?




『「天宮はオレのノートだって分かれば、きっと遠慮するから」…って言ってた。

だからあたしに代わりに渡してくれるように頼んだのよ』




最後に見たアイツは、今まで見たことない藤沢だった。




ふいに、扉をノックされる。



顔を上げた拍子に、あのノートがバサッと落ちた。

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