恋の法則
「おはよ」
「あ…智美」
自然と高鳴っていた鼓動がいつものリズムに戻る。
肩に乗せていた手をどけると智美は首を傾げた。
「何してるの?早く入りなよ」
私は智美に背中を押されて、教室に入った。
「おはよー」
と友達に挨拶をして進んで行く智美の後を、下を向きながらついてく。
私はやっとのことで自分の席に辿りつき、鞄を下ろした。
ずっと下にあった視線を、窓際の席にまで持っていく。
私の目はカーテンに揺られる一ヶ所だけに吸い寄せられるように止まった。
いつものように外にみいられるようにして、頬杖をついて座っている姿だけが映る。
「なつみ、先生来たよ」
「へ…うん」
私は智美に呼ばれて椅子に座った。
「起立」と日直の子の号令がかかって、皆が前を向く中で私だけは違う方を向いていた。
窓際の方を。
前を向く藤沢の横顔だけしか、見ていられなかった。